2011年1月11日作成 2020年5月21日更新

ECUの製作

NA6CE型ロードスターのB6エンジンを、ハードウェア・ソフトウェア共に自作のECUで動かすことが出来ました。

エンジンのオーバーホールをやってみた時に乗用車用ガソリンエンジン入門という本を読んだら、なんとなく自分でECUも作れるんじゃないかと思って作り始めたら、本当に作れちゃいました。当初は制御の勉強目的でアイドリングできたら十分だなと思って始めたのですが、普通に走れるようになりました。(実際にやってみたら、始動 - アイドリングが一番難しい)

自作なので当たり前ですが、燃料噴射量やら点火時期やらいろいろなパラメータは好き勝手に変更できます。

2011年4月23日現在、まだ作成中ですがとりあえず普通に走れるようになっているので、プログラムを置いておきます。ご自由にお使いください。

マイコンでLEDを点滅させてみたりX68000のキーボードをPS/2に変換してみる程度の事しか出来ないド素人でも作れたので、誰でも作れると思います。

製作依頼などは受け付けておりません。MoTeC などのような実績のある市販品がありますから、それらをご使用ください。

ソースコード・回路図

旧版ダウンロードページと簡単な更新履歴

ECU

マイコンにSH7125を使用していて、部品点数を少なく作っています。

ECUモニター

パソコンを持ち出さなくてもECUの状態をモニターできるように、単体で動作するECUモニターも作りました。SDカードからマップを読み込んでECUへ転送することも出来ます。

マイコンには秋月で100円のR8C/M12Aを使用。

エンジンシミュレータ

純正ECUの動作を調べるためと、自作ECUの動作テストのためにエンジンシミュレータを作りました。これがあるとECUをエンジンに接続せずに動作させることが出来ます。


PC側ソフトのスクリーンショット


おまけ資料

開発ツール

開発環境はすべて無料で使える物ばかりです。

製作過程

まず、中古のECUを購入して回路を調べました。MT用よりAT用のほうが安かったのでAT用を購入。たまたまヤフオクで100円でした。回路はAT用もMT用もほぼ同じでマップがちょっと違う程度です。(AT用をMT車に付けても走れます)

ECUの動作を調べるために、純正ECUのROMの内容を読み出せないかと思って、CPUのデータシートを探してみたんだけど見つからなかった。時期的にMC6801とかじゃないのかな?と思っていたんだけどピン配置が違うようだった。データシートが見つからないのでROMの読み出しはあきらめた。

ECUの動作を確認するためにECUのコネクターが欲しかったので、中古のハーネス一式を購入。これは少し高くて6,000円くらいだったかな?

分度器をあてながらカムを手で回してクランクアングルセンサーの動作を調べた。ロードスターのクランクアングルセンサーは極低速でも(停止していても)信号が出るので調べやすかった。

マイコンで発生させたクランクアングルセンサーの信号を純正ECUに入れて動作を調べた。

クランクアングルセンサーの信号を入れてやれば、点火信号は出てくるんだけども噴射信号は出なかった。点火確認信号を入れてやることで、噴射信号も出るようになった。

マイコンは以前秋月電子で売られていた500円のH8S付きジャンク基板を使用。

マイコンとPCを繋いでPCから回転数や吸気量なんかのパラメーターを変更したり、点火時期や燃料噴射時間を表示できるようにして、エンジンシミュレータを作りました。ECUはエンジンシミュレータをエンジンだと思って動いてくれます。

エンジンシミュレータで回転数と吸気量を自動的に変化させて、純正ECUの点火時期がどう変化するのかを調べた。

同じように噴射時間も調べた。

後にこのマップでエンジンを回したら、かなり空燃比が濃くてアイドリングが安定しなかった。温度補正が掛からないように、水温と吸気温は85℃くらいに合わせてるんだけど、なにか補正がかかった状態なんだろうか?

純正ECUの動作が大体わかったので、それと同じように動く自作ECUのプログラムを作り始める。

点火信号と噴射信号がでるまでこんな感じの回路でエンジンシミュレータにつないでテストしながらプログラムを書いた。

純正ECUの動作を調べるために、かなりでたらめに作ったエンジンシミュレータだけど、これが無かったら動作テストが出来なくてECUのプログラムなんて書けなかった。

CPUにはルネサスのSH7125を使用したんだけど、これは秋月電子で買えるマイコンの中で一番タイマーが充実していて、安い(900円)ので使用しました。16ビットタイマーを10本も使えるのでプログラムが簡単になります。PIC24や8ビットAVRでも今回のようなECUを作れると思いますがタイマーを使いまわさなきゃならないと思うので、プログラムが少し大変そうです。

純正ECUの回路を参考にして自作ECUの回路を製作。プリント基板を作った。

秋月電子で売っている部品で回路を作ったんだけど、1Wとか2Wの大きい抵抗だけは秋月で扱っていないのでこれはマルツの通販で購入した。 黄色いコネクタは純正ECUから外して使用。基板の大きさを純正ECUと同じにしたのでケースも流用。

エンジンシミュレータも箱に入れた。

エンジンシミュレータで自作ECUがうまく動いているので、実際にエンジンを回してみたらあっさり始動してしまいました。自分でもびっくり。

初めのうちは空燃比がかなり濃くて回転が安定しなかったんだけど、純正O2センサーの出力を頼りに噴射マップを修正して快調に走れるようになりました。


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